2018年4月24日

講演者インタビュー パナソニック株式会社 九津見 洋 氏

7月2日に大阪で開催に開催される「AI・ビッグデータ活用フォーラム」講演者のパナソニック株式会社ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター、所長 九津見 洋さんに、AI事業とそこで必要とされる人財について伺いました。インタビュアーは日本能率協会、小関俊洋です。(以下敬称略)

パナソニックのAI活用とは?

(小関)
現在のお立場と会社での役割を教えてください。

(九津見)ビジネスイノベーション本部、AIソリューションセンターで責任者をさせていただいています。ビジネスイノベーション本部というのは、本社直轄の組織で新規事業を創っていくのがミッションです。
新しいビジネスを創るにあたって、鍵になるのが破壊的技術と言われているAIやIoTの活用です。それを達成していくために、弊社ではAIソリューションセンターが設立されました。私たちは従来の概念ではいわゆるR&D組織ですが、直接的に事業開発にも関わる組織になっています。

(小関)
昨年、東京で開催された「AI・ビッグデータ活用フォーラム」での講演テーマは「パナソニックのAI活用戦略」でした。その時の概要を教えていただけますか?

(九津見)
その時の講演のポイントは、まさにAIの「活用戦略」でした。AIやビッグデータをいかに応用していくかが一つの肝になります。AIは非常に進化が速くどんどん変わっていきます。世界レベルに追従していくとなると、自分たちだけではとてもスピードが追いつきません。
もちろん自分たちでやる部分もありますが、いかに外部と連携をするか。そして、どのように実際の既存事業や新規事業につなげていくか。そのスピード感が重要になってきます。どのように最新のAIを導入し事業へ応用していくか、その意味での活用戦略を発表いたしました。
そのためにAIを理解している人財をどのように増やしていくのか。それがもう一つのポイントになると思います。

(小関)
スピードが重要だということですね。具体的なAIの活用領域はどこになるのでしょうか?

(九津見)
AIはさまざまな事業への活用の可能性があり弊社でも実際に検討や活用が進んでいます。例えば、成長分野としては、自動車関連への活用が挙げられます。また、最近、非常にニーズが増えているものとしては、社内の業務改善もあります。例えば、工場のオペレーションですね。メンテナンスの回数や製品ロスを削減する。また、事業計画立案、調達、経理などの分野での活用検討も増えています。

(小関)
御社内での業務改善として活用が始まっているのですか?

(九津見)
成果としてはまだこれからですが、実際にいくつかのテーマについては社内での活用に着手しています。

どうやってAI人財を獲得するのか?

(小関)
東京での「AI・ビッグデータ活用フォーラム」のご感想は?

(九津見)
1月の時はAIを使った事業における出口戦略を中心に発表させていただきました。具体的な応用を中心にお話しさせていただいて、その上で補助的に人財育成のお話をしましたが、その後、いただいた質問や参加者さんとの会話では、むしろ、人財育成の問い合わせの方が多くありました。
それは私の想像以上でしたね。「人財育成の質問がこんなに多いのか」と驚きました。

(小関)
人財の採用については、人事部門と一緒になっておこなうことが多いと思います。採用方法に仕組みは?

(九津見)
採用の仕組みについては、数年前に大幅に変えました。従来は事業部門毎におこなっていたのですが、AIなどの採用したい特定分野の人財については、AIでの専門採用枠を設定し、採用するようにしています。そうすることで、企業でAIを活用した業務に就きたいという方に対して目にとまりやすくしたのです。

(小関)
新卒採用の場合は人事部が主導するのでしょうか?

(九津見)
人事部が主導ですが、実務部門、つまり人材が配属される側の責任者も密に連携して進めます。例えば、私自身も採用には深く関わり、採用戦略の立案、プロセスの改善などにも携わっています。

(小関)
7月2日の大阪での開催では、講演と共にAI人財についてのパネルディスカッションもおこないます。大阪での人財募集は東京とは違う面があるのでしょうか?

(九津見)
弊社に限らず、どうしても人財は東京に集まりがちです。同じ魅力度合いの会社が東京と大阪にあったとすれば、東京を選ばれる方が多いです。しかし、地方でも優秀な人財がいて成功している会社さんもあります。このような会社さんを見ていますと、何か光るその会社の魅力が感じられます。このように、会社そのものの魅力作りや採用の戦略性が必要だと思います。今回のイベントに登壇される各社の取組が、優秀な人財を確保するヒントになれば、と思っています。

(小関)
御社はシリコンバレーでも活動をしているということですが、グローバルでも優秀な人財を獲得するのは競争があるのではないかと思います。それについては?

(九津見)
そうですね。おっしゃるとおり人材の獲得には苦労しています。私は、優秀な人財を獲得できるかには二つの要素があると思っています。一つは報酬です。もう一つは、その会社に魅力を感じてもらえるか、つまり魅力的な仕事、チャレンジングな仕事が提供できるか。その二点だと思います。
今回参加させていただくパネルディスカッションに登壇する三社はいずれも製造業です。報酬面では、びっくりするような報酬を設定することができません。そうなると、その会社にどれだけ魅力的な仕事があるのか。成長の機会があるのか。もっと言うと、社会に貢献できる仕事ができるのか。このような、仕事そのものに対する満足感、そこが最大のポイントだと私は考えます。
入社を希望している優秀な方に「他にどんな会社を検討していますか?」と聞くと、我々とは全く違う異業種を検討していることがあります。そんな条件の中でも弊社に入社いただいた方は、報酬以外のところに魅力を感じていただいている場合が多い。「経営理念に惹かれた」「この仕事がやりたい」「この技術に興味がある」と言ってくれます。会社自体の魅力、仕事内容自体の魅力で入社してくれるんですね。そういった魅力的な職場作りが大事だと思います。

(小関)
参加される方へのメッセージをお願いします。

(九津見)
大阪の講演では、私たちのAI人財育成プログラムやその実績についてお話しする予定です。弊社の人材育成の取り組みは業界の中でも少しだけですが早い取り組みだったと思います。成果も徐々に上がっていますので、その事例から今後の参考になる部分を得ていただければ幸いです。

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